政 策 提 言 <2> |
塩竈市議会議員 伊藤 ひろあき 政策提言 「しおがま電子自治体都市宣言」戦略プラン(基本計画) 国が推進を図る「総合行政ネットワークシステム(LGWAN)」構想とそれに伴なう宮城県の「みやぎハイパーウェブ」構想に乗り遅れることなく 21世紀の新しいまちづくりを実現するために提案いたします。 <2002年1月10日作成> |
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「しおがま 電子自治体都市 戦略プラン」 (目 次) 1. しおがま電子自治体都市を目指して 1 しおがま電子自治体都市を目指して 2 実現に向けて 3 計画の目標年次 2. しおがま電子自治体都市戦略(基本プラン) 1 行政の情報化 (1) 行政サービスの情報化 ・ 行政情報、公共情報のマルチメディアによる提供 ・ 市民参加の機会の充実 ・ 窓口サービスの情報化 ・ 保健、医療、福祉サービスの情報化 ・ 災害に備えての情報通信ネットワーク整備 (2) 行政運営の情報化 ・ 戦略的な行政運営の実現 ・ 事務処理の情報化 ・ 職員の育成 2 産業の情報化支援 (1) 地域産業の情報化支援 ・ 電子商取引などの導入促進 ・ 人材育成事業の充実 ・ 産業情報化支援制度の充実 (2) ベンチャービジネスの育成 ・ 人材の育成 ・ 支援制度の創設 3 市民の情報化支援 (1) 情報教育の充実 ・ 学校の情報化 (2) 情報啓発事業の充実 ・ 情報学習施設の充実 ・ 情報学習講座の充実 (3) ITサポートセンターの創設 ・ サポートセンターの整備促進 ・ サポートセンターの運営を支援 (4) 地域コミュニケーションの情報化支援 ・ 地域コミュニケーションネットワーク活動の支援 ・ 国際交流ネットワーク活動の支援 4 情報基盤の整備促進 (1) 公衆電気通信網の高度化促進 (2) 地域情報基盤の整備 5 推進にあたって (1) 情報化の推進体制 ・ 行政の推進体制 ・ 市民・企業・行政が協働する推進組織 (2) 推進にあたっての留意点 (3) 克服すべき課題 ・ 人に関する課題 ・ 情報環境に関する課題 |
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1 しおがま電子自治体都市を目指して 現代は情報化の時代といわれております。情報化の潮流は、早いか遅いかの違いはあっても、いずれ世界の人々が、その影響を受けることになると考えられます。 しかしながら、情報化の潮流は決して楽しいことだけをもたらす訳ではないでしょう。すなわち、情報化の流れに乗れる企業や個人とそれができない企業や個人との間で大きな格差が生じてしまう危険性が高いということです。 したがって、情報化の流れを企業や個人に(すなわち市場原理に)だけ委ねるのではなく、行政も含めて総力を挙げて協働して情報化の戦略を展開していくことが、今後、より良い地域社会を作り上げていく上で必須であると考えます。 塩竈市は市民・企業・行政が協働して取り組むことを目標とた第四次長期総合計画に基づき、情報化とこれに伴なう社会の変化に適応し、21世紀の高度情報社会に対応し、活力のある都市を創造し、誰もが心やさしい豊かな気持ちで暮らすことのできる都市を実現します。 私たちは、「しおがま電子自治体都市」を目標として掲げ、その実現のために先進的な取り組みと努力を進めていきます。 「しおがま電子自治体都市」とは、 ● 情報が集積し、交流する都市 ● 情報を創り出し、発信する都市 ● 情報を誰もが簡単に利用できる都市 こんな都市を(まち)をイメージしています。 2 実現に向けて 塩竈市が「しおがま電子自治体都市」を実現するためには、次のような課題を解決する必要があります。 ● 情報化に対応した行政サービスの実施と充実 ● 情報化に対応した市民生活の実現 ● 地域産業の情報化とIT技術者の育成と発掘 ● これらの基盤となる高度な情報通信ネットワークの整備 「しおがま電子自治体都市」の実現にあたっては、市民、企業、行政が一体となって協働し、課題の解決を進めて行く必要があります。 そのために行政は、中心となって課題の解決に努力します。 具体的には、行政自身の情報化を率先して行うと同時に、市民や企業の情報化への対応のお手伝いをいたします。 3 計画の目標年次 「しおがま電子自治体都市」プランは、「塩竈市長期総合計画」の目標年次である西暦2010年(平成22年)までの10年間を目標年次とします。 しかしながら、情報通信技術の革新には目覚しいものがあります。例えば、コンピュータの性能は、1年半で2倍になるとも言われております。したがって、このような変化に合わせて本プランは必要に応じ改訂します。 1 行政の情報化 (1) 行政サービスの情報化 ●行政情報、公共情報のマルチメディアによる提供 市報や広報紙、リーフレットなど紙面により行ってきた行政情報の提供や、図書館の蔵書、観光情報などの公共情報提供を、インターネットやCATVなどの情報通信ネットワークの姿で市民に提供します。また、情報通信ネットワークを通じていつでも受講できるマルチメディア市民(千賀の浦)大学や生涯学習講座を開設します。 ●市民参加の機会の充実 行政の計画づくりや、その実施状況をなどに関して、市民や企業等から意見や提案をいただく機会を拡充するため、インターネットやパソコン通信に専用のメールボックス(私書箱)や電子掲示板を開設し、24時間いつでも市民からの意見や提案をいただけるようにします。 さらに、情報通信ネットワークを利用して、随時、市民満足度評価やアンケートを実施し、市民(納税者)の意見を、リアルタイムで市政に反映させます。 ●窓口サービスの情報化 サービスごとに分かれている窓口を、情報通信ネットワークでつなぎ、市民が1ヵ所の窓口で複数の用事を済ませることができるように市役所窓口の総合化を行います。 また、市役所のそれぞれの窓口を訪れなくても、市役所庁舎の分散されている塩竈市の特徴を生かし、最寄の公共施設にミニ総合窓口を設置したり、電子窓口を設置したりして、窓口サービスが受けられるようにします。 さらに、情報通信ネットワークを通じて、家庭のパソコンやテレビ等を使ってサービスが受けられるようにすることも検討します。 ●保健、医療、福祉サービスの情報化 高齢者や障害者など一人ひとりが、健康状態などに応じて、入院や在宅介護などの総合的なサービスメニューの中から、適切な対応を迅速に受けることができるように、一人ひとりの健康状態などの情報を、医師、保健婦などの看護(介護)関係者が、情報通信ネットワークを利用して、迅速に把握、共有できるようにします。 また、在宅の高齢者、障害者の健康状態などを情報通信ネットワークを利用した検査システムなどにより、医師や保健婦がチェックしたり、相談を行ったりすることができるようにします。 さらに、授産期と子育て支援のために、情報通信ネットワークを利用して、医師や保健婦が相談にのったり、電子サークルなどをできるようにします。 ●災害に備えての情報通信ネットワーク整備 次のようなことを目指して、マルチメディア・データベースと信頼性の高いネットワークからなる災害情報通信ネットワークを整備します。 ・ 災害発生時に、津波や火災などの危険のお知らせ、被害の概況、交通の状況などの情報を、公共施設や駅などに設置する表示装置などにより迅速に提供します。 ・ 避難場所となる学校などに設置する端末機器などにより、避難者救援のための情報の迅速な伝達と避難場所のより効果的な運営を実現します。 ・ 救援、救助、消火、復旧などの災害対応活動を行う関係機関が、災害発生時に関連する情報の確保と整理および、関係機関相互の連絡と協議を円滑に行うためにも、災害情報通信ネットワークを活用します。 (2) 行政運営の情報化 ●戦略的な行政運営の実現 市民のニーズの変化に適切に対応するために、情報通信ネットワークなどを利用して、多様な情報の収集と整理を進め、施策に反映させるとともに、市民と市役所のネットワークを拡大し、また民間企業や国、県、他自治体などとの情報交流を充実させます。 さらに、行政に蓄積されている土地や建物、施設、都市計画などに関する情報(都市情報)と、住民票や戸籍、税、保健、福祉などの市民に関する情報(住民情報)の2大情報を中心に、情報の電子化を進めます。これらの情報の行政内部での共同利用を図ることにより、きめ細かい都市づくりの基礎資料として、あるいは効率的な事務実施のために戦略的な活用を図ります。 ●事務処理の情報化 これまでの事務処理のやり方を改め、できる限り電子化を進めて紙の書類でのやりとりを少なくし、情報やりとりの際に行っている記帳などの手作業を、極力省略するなど効率化を図ると同時に、事務処理の情報化を推進し、事務部門の人件費や物件費などの経費を節減します。 ●職員の育成 高度情報化社会における市役所の情報センターとしての役割を率先して果たすためには、職員が情報通信システムの使い方に慣れ、活用ができることが必要です。と同時に、職員が情報に敏感に対応し、素早く施策に反映させ、事業実施に取り組むことのできることも必要になります。 このために、職員研修の充実を図るとともに、職員が日常的に情報機器や情報通信ネットワークなどを利用することのできる職場環境の整備を進めます。 2 産業の情報化支援 (1)地域産業の情報化支援 ●電子商取引などの導入促進 商品のPR、受注、販売、代金の決済といった商取引の一連の流れを、情報通信ネットワークを使って行う電子商取引への対応を検討するために、地域の産業団体や企業などに参加を呼びかけ、共同で研究、導入を促進します。 ●人材育成事業の充実 地域企業の将来を担う人材の育成を進めるために、マルチメディアの番組作成などを行う人材や、企業の情報化を担う人材の育成に重点をおいた研修事業などの充実を図ります。 ●産業情報化支援制度の充実 地域の企業またはそのグループ、産業団体、商店街などが、情報通信システムの導入やそのための調査設計を行う場合の財政的支援を検討するとともに、関連的な情報の提供など積極的な支援を行います。 (2)ベンチャービジネスの育成 ●人材の育成 地域産業活性化の原動力として期待されるベンチャービジネスの企業家を目指す人を対象に、技術開発および会社設立・経営などの両面から研修を行い、人材育成します。これにより市内にたくさんのベンチャー企業が立ち上り、若年者の就業の機会を提供します。 ●支援制度の創設 人材育成事業の対象となった人が、塩釜市内でベンチャー企業を設立する場合、創業経費の一部について補助金の創設と、融資制度など必要な情報の提供を行い支援をする制度を創設します。 3 市民の情報化支援 (1) 情報教育の充実 ●学校の情報化 コンピューターやソフトウエア―の利用のしかたや情報活用能力を育成する情報教育の充実を図り、情報化に伴なう社会システムの変化に柔軟に対応できる人づくりを行います。 情報機器やネットワークを整備し、これらの使い方や活用の方法を学習したり、国内外のデータベースなどに接続して、様々な映像や文書を教材として活用します。 (2)情報啓発事業の充実 ●情報学習施設の充実 最先端のコンピュータや関連機器をを設置した情報学習施設の充実を図ります。市民は、自由に設置された機器を操作して、使い方を覚えたり、インターネットなどに接続して情報の受発信を行うことができるようにします。 ●情報学習講座の充実 情報通信技術の動向やその利用方法、機器の使い方など、市民向けの学習講座を内容・回数ともに充実して行います。情報学習施設の設置機器などを活用して、実習講座を開設します。 (3) ITサポートセンターの創設 ●サポートセンターの整備促進 多くの市民が機器の使い方などで不便をきたさないように、低廉な料金でサポートできるNPOなどの団体が活動できる拠点の整備を検討します。 ●サポートセンターの運営を支援 低廉な料金で多くの市民にサービスを提供することを目的とすることから、サポートセンターの運営に対して補助を創設する。 (4) 地域コミュニケーションの情報化支援 ●地域コミュニケーションネットワーク活動の支援 コミュニケーション手段としての、パソコン通信など情報通信ネットワークの整備を進めるとともに、地域ボランティア、PTA、町内会、サークルなどの活動の連絡手段として活用されるよう普及を図ります。 ●国際交流ネットワーク活動の支援 インターネットなどを利用して、世界の人々との、時間や距離、人種や世代を超えた交流が実現されるよう、市民への普及を促進するとともに、交流活動にあたっての人的なネットワークづくりを支援します。 4 情報基盤の整備促進 (1) 公衆電気通信網の高度化促進 たくさんの情報を短時間で伝送することのできる高速広帯域の基幹情報通信回線網の整備促進や、各家庭への高速通信回線の整備普及を、国や通信事業者に働きかけます。 (2) 地域情報基盤の整備 行政機関、公共施設、学校などを結ぶ通信回線網の整備を進め、平常時は、イ ンターネットへの情報発信や行政サービスのための情報通信基盤として、また 災害時には、災害情報ネットワークの基盤として活用します。この整備にあた っては、行政独自の専用回線の整備、公衆電気通信網の利用、CATV回線との 接続など、多面的な方法を柔軟に組み合わせて実施します。 5 推進にあたって (1) 情報化の推進体制 情報化の推進は、市民・企業・行政が協働して取組んでいくべき課題です。推進体制については、市民、企業経営者、行政職員などの意見、提案を十分に反映させることができるように、参加型の推進組織を設置します。 ●行政の推進体制 情報化推進のための庁内連絡会を設置し、市役所全体として積極的な取組みを推進します。 施策や課題ごとに、組織横断的な実務プロジェクトチームを設置し、実現に向けて具体的な作業を行います。 ●市民・企業・行政が協働する推進組織 市民、企業の情報化を支援する施策の推進にあたって、市民参加の推進組織を設置し、行政と協働で「しおがまIT戦略会議」のような組織を創設し実現を目指します。 また、情報化施策の進捗状況について、市民や専門家にモニターを依頼し、結果を施策に反映します。 (2) 推進にあたっての留意点 すべての市民と企業が、情報化に伴なう社会の変化に柔軟に対応し、心豊 かな暮らしのできる都市にするために、次の点に十分留意する必要があります。 ・ 誰にでも使いやすい操作性 ・ 情報格差の防止と是正 ・ 個人情報保護の徹底 ・ 安全性の確保 ・ 経済性の確保 ・ 情報の品位の維持 (3) 克服すべき課題 情報化推進のために、特に次のような課題を解決していく必要があります。 そのために、行政が中心となって、各種啓発事業の実施、関連各機関・民間 事業者への働きかけなど、課題の解決に努力します。 ●人に関する課題 @ 情報化に伴なう情報の受け方や手続きの方法などの変化の受容 A 情報を受発信し、活用する方法の学習 B 情報を創り出す能力の開発 ●情報環境に関する課題 @ 情報端末機器や通信回線の家庭や事業所への普及促進 A 通信料金の負担軽減 B 情報通信ネットワークの整備に関る財政支援措置の要請 |